姿勢がいいとはどんな状態?背筋を伸ばすだけではない、自分に合う姿勢の見つけ方
「姿勢を良くしよう」と思ったとき、まず背筋を伸ばし、胸を張る人は多いのではないでしょうか。
鏡に映る姿は、たしかにまっすぐに見えるかもしれません。けれど、しばらくすると腰がつらくなったり、肩や首に力が入ったり、呼吸がしにくくなったりする。そんな経験はありませんか。
姿勢は、意識だけでつくるものではありません。足のつき方、骨盤や股関節の位置、胸まわりの動き、頭の位置、呼吸、そして椅子や机などの環境まで、さまざまな要素が関わっています。
自分が思う「良い姿勢」は、実は「自分に合った姿勢」とは限らないのです。
そこで今回は、見た目を一つの正解に近づけるのではなく、今の自分にとって無理が少なく、次の動きへ移りやすい姿勢を見つけるための考え方を紹介します。

「姿勢を良くしよう」として、身体を固めていませんか
「背中が丸くならないようにしよう」と胸を強く張る。
「お腹に力を入れよう」と、呼吸を止めるように身体を固める。
「肩を後ろへ引こう」と、その位置をずっと保とうとする。
どれも、姿勢を良くしようとして取りがちな行動です。しかし、見た目をまっすぐにすることへ意識が向きすぎると、別の場所に力が入り、かえって姿勢を保つことが苦しくなる場合があります。
たとえば、胸を張ったときに腰が大きく反っていないでしょうか。肩を後ろへ引いたときに、首まで緊張していないでしょうか。お腹へ力を入れたまま、いつもどおり呼吸ができるでしょうか。
鏡から少し離れて、自分の感覚へ目を向けると、見た目だけでは分からなかった力みに気づくことがあります。
「正しい姿勢」は人それぞれ
私たちの骨格や体格、筋力、柔軟性には、一人ひとり違いがあります。また、身体に求められる姿勢も、立って話すとき、椅子に座って仕事をするとき、歩くとき、荷物を持つときでは、それぞれ異なります。
そのため、私が考える「良い姿勢」とは、見た目を決められた形に合わせることではありません。その人の骨格や体格に応じて身体を支える筋力と柔軟性があり、今している動作に必要な筋肉を適切に使える状態であると思っています。
たとえば、立っているときに一部の筋肉だけで身体を固めるのではなく、姿勢を支える筋肉が連動して働き、必要以上に力まずにいられること。そして、歩く、振り向く、手を伸ばすといった次の動作へ、無理なく移れることが大切です。
つまり、良い姿勢は、きれいな形のまま動かないことではなく、身体を安定させながら、目的に応じてしなやかに動ける状態だと考えています。
見た目だけで判断せず、呼吸を楽に続けられるか。同じ姿勢を長く我慢していないか。どこか一か所に力が入りすぎていないか。そこから次の動作へ自然に移れるか。こうした身体の感覚も、自分に合った姿勢を見直すための大切な手がかりになります。

背筋だけを見ても、姿勢全体は分からない
姿勢というと、背骨の線や肩の高さに目が向きがちです。しかし、身体は背中だけで支えられているわけではありません。
立っているときには、足裏のどこへ体重をかけているか。座っているときには、骨盤がどのように椅子へ触れているか。画面を見るときには、目線に合わせて頭が前へ出ていないか。腕を使う仕事では、机や道具の位置が自分に合っているか。こうした条件が重なり、そのときの姿勢がつくられます。
さらに、疲れている日と元気な日、緊張しているときと落ち着いているときでも、身体の支え方は変わります。
厚生労働省の腰痛予防対策でも、腰への負担には作業動作や長時間同じ姿勢を続けること、作業環境など複数の要因が関係するとされています。つまり“姿勢”は、本人の意識だけでなく、身体の状態や周囲の環境も含めて考える必要があるのです。
いつも同じ場所へ負担が集まると感じる場合は、過去の記事「いつも同じところが痛いのはなぜ?身体のクセとの向き合い方」でも、身体の使い方を見直す視点を紹介しています。

良い姿勢で得たいのは、形ではなく“動きやすさ”
姿勢を見直す目的は、「一日中きれいな形を崩さないこと」ではありません。
自分に合う位置を見つけることで、余計な力を入れずに立ったり座ったりしやすくなる。作業中の負担を一か所へ集めにくくする。身体が固まる前に、位置を変えることへ気づきやすくなる。こうした変化が、日々を動きやすくする助けになります。
一方で、姿勢を良くすれば肩こりや腰痛が必ずなくなるとは限りません。運動不足や精神的なストレス、長時間同じ姿勢を続けることなど、不調の原因は様々です。
こういった場合は、そもそもの姿勢が崩れている場合が多いため、無理に正そうとするのではなく、身体、動作、生活環境を見直す入口として捉えてみると良いでしょう。
自分で姿勢を見直す3つの確認
姿勢を確かめるときは、鏡に映る形だけでなく、次の3つを確認してみてください。
1.呼吸を止めずにいられるか
背筋を伸ばした状態で、普段どおり息を吸ったり吐いたりできるでしょうか。呼吸が窮屈なら、顎を引きすぎていたり、胸を張りすぎたり、お腹を固めすぎているなどの可能性があります。一度力を抜き、少し位置を変えて自分の心地よい呼吸ができる場所を見つけてみましょう。
2.一か所だけに強い力や圧を感じないか
足裏、腰、肩、首など、一か所だけで身体を支えている感覚がないかを観察します。左右を完全に同じにする必要はありません。「どこに力が入っているか」に気づくことが出発点です。
3.そこから楽に動き出せるか
座った状態から立つ、立った状態から一歩踏み出す、腕を前へ伸ばす。姿勢を保つことに力を使いすぎていると、次の動作がぎこちなくなることがあります。少し姿勢を変え、どちらが動きやすいかを比べてみてください。
自分にとって楽に感じる姿勢が、必ずしも身体の各部へ負担が偏りにくい姿勢とは限りません。長年続けてきた姿勢や動き方は、身体にとって「いつもの状態」になっているため、多少の偏りがあっても違和感を覚えにくいからです。
反対に、これまで十分に使えていなかった筋肉を動かそうとすると、動かしにくさや疲れを感じることがあります。必要な筋力や柔軟性が足りていなかったり、複数の筋肉をうまく連携させる動きに慣れていなかったりするためです。
ただし、つらさを我慢すれば正しい姿勢になるわけではありません。大切なのは、必要な筋肉を無理なく使える状態を少しずつつくり、その状態を保ちながら立つ、歩く、座るといった身体の使い方を身につけることです。

自分では見えない部分を、誰かと確かめる
必要な筋肉を使える状態をつくり、日常の動き方を見直していくことは、自分一人では難しい場合があります。
鏡で正面の姿勢を確認することはできても、横や後ろから見た状態、動いている途中の身体までは把握しにくいものです。また、毎日繰り返している動きほど自分にとって当たり前になり、無意識の力みや動きの偏りに気づきにくくなります。
そこで、自分では見えない身体の状態や動き方を第三者と一緒に確かめる機会として、整体を活用する方法もあります。
私たちが運営するPONO SURU SALONでも、身体を決められた形へ矯正することだけを目的とはしていません。まずは今の状態や動き方を確認し、その人の骨格や生活、目的に合った身体の使い方を一緒に考えることを大切にしています。

まとめ|慣れた姿勢ではなく、身体を適切に使える姿勢へ
楽に感じる姿勢が、必ずしも身体に負担が偏りにくい姿勢とは限りません。一方で、つらさを我慢することが正しい姿勢につながるわけでもありません。
大切なのは、必要な筋肉を無理なく使える状態を少しずつつくり、立つ、歩く、座るといった日常の動作へつなげることです。
姿勢は、一度正せば完成するものではありません。仕事の内容や疲れ方、その日の体調に合わせて、呼吸のしやすさや力の入り方、動きやすさを確かめながら調整していく必要があります。
こうして今の身体に気づき、そのときに合う状態へ調整することは、PONO SURUが大切にする「整える」という考え方にもつながります。整えるとは、決められた正解へ身体を押し込むことではなく、今の自分に合う選択をし、次の行動へ向かうための余白をつくることです。
PONO SURUが考える「整える」については、「人はなぜ『整えたい』と思うのか?自分を整える本当の意味」でも詳しく紹介しています。
まずは、今の姿勢で楽に呼吸ができているか、どこか一か所に力が入りすぎていないかを確かめてみてください。その小さな気づきが、自分に合った姿勢と身体の使い方を身につける第一歩になります。


[…] 日常の姿勢については、以前の記事「姿勢がいいとはどんな状態?背筋を伸ばすだけではない、自分に合う姿勢の見つけ方」で、呼吸を続けられ、次の動きへ移りやすいことを一つの目 […]
[…] 以前の記事「姿勢がいいとはどんな状態?背筋を伸ばすだけではない、自分に合う姿勢の見つけ方」でも紹介したように、姿勢は一つの形を守り続けるものではありません。 […]