運動していても座りっぱなしは別問題?デスクワーク中に身体を動かす習慣
仕事が終わったあとにジムへ行く。休日には、ランニングやスポーツを楽しむ。定期的に身体を動かしている一方で、平日の仕事中は何時間も座ったままになっていることはありませんか。
運動習慣がある人ほど、身体を動かすトレーニングの時間と、座って仕事をする時間を別のものとして考えてしまうことがあります。「あとで運動するから、仕事中は座り続けても大丈夫」と思うこともあるかもしれません。
しかし、同じ姿勢が長く続くと、首や肩、腰などに負担が偏り、身体のこわばりや動きにくさを感じることがあります。そして、その状態のまま運動を始めると、思うように身体を動かしにくかったり、一部に力が入りすぎたりする可能性もあります。
運動習慣は、健康や体力づくりにとって大切です。ただし、運動する時間があるからといって、長時間座り続けることによる負担まで解消できるとは限りません。
では、仕事中の座りっぱなしを減らし、身体の負担をため込まないためには、どのようなことができるのでしょうか。
今回は、座り続けた身体へ目を向けるタイミングに変えるという視点から、デスクワーク中でも無理なく取り入れやすい習慣を紹介します。

運動する時間と座っている時間は分ける
運動とは、ランニングやスポーツ、筋力トレーニングなど、健康や体力の維持・向上を目的としてある程度、計画的に行う活動を指します。一方、起きている時間に、座ったり横になったりして低いエネルギー消費で過ごす行動を座位行動といいます。
座位行動には、デスクワークや会議、車での移動、座ったままのスマートフォン操作などが含まれます。1日を思い返すと、こういった作業に時間を使っている人は多いのではないでしょうか。
私の場合、仕事の後に週に3回1時間程度泳いでいますが、日中の会議や資料作成が続けば、数時間ほとんど席を立たない日があります。
大切なのは、「運動しているから大丈夫」と考えるのではなく、続けている運動習慣は大切にしながら、仕事中に座り続けている時間も、自分の身体に目を向けることです。

見直したいのは、座ることではなく「同じ状態が続くこと」
デスクワークでは、座ること自体が悪いわけではありません。文章を書く、数字を確認する、集中して考えるなど、座ったほうが取り組みやすい仕事もあります。
見直したいのは、同じ姿勢が長く続いていることに気づかないまま、作業を重ねてしまうことです。
たとえば、午前中のオンライン会議が終わったあと、そのままメールを返し、続けて資料を作る。気づけば昼休みまで一度も立っていなかった、ということもあるでしょう。
このとき、身体の一部に負担が偏り、首や肩、腰の重さを感じることがあります。画面へ顔を近づけた状態や、脚を組んだ状態が続けば、姿勢を変えようとしたときに動きにくさを感じるかもしれません。
だからといって、常に身体を“良い”状態に固定する必要はありません。同じ姿勢を保つために力み続けると、それ自体が負担になる場合があります。
以前の記事「姿勢がいいとはどんな状態?背筋を伸ばすだけではない、自分に合う姿勢の見つけ方」でも紹介したように、姿勢は一つの形を守り続けるものではありません。

「30分ごと」は、身体へ意識を戻す目安にする
では、座りっぱなしを避けるためには、どのくらいの間隔で姿勢を変えたり、席を立ったりすればよいのでしょうか。
身体への負担の感じ方は、姿勢や作業内容、体調などによって異なるため、「何分までは問題ない」と一律に決めることはできません。ただし一つの目安になるのが、ズバリ30分です。これは厚生労働省の出している指針で、長時間の座位行動をできる限り頻繁に中断する例として示されています。
ただし、30分という数字を必ず守ることが目的ではありません。会議や接客、集中が必要な作業など、すぐに席を立てない場面もあります。時間を厳密なルールにすると、実行できなかったときに習慣そのものを諦めやすくなります。
普段は、「どのくらい座り続けているだろう」と気づくための目安にしてみましょう。
30分で一度立てる日もあれば、会議が終わる60分後になる日もあります。大切なのは、完璧な間隔で動くことではなく、気づいたときに座り続ける流れを一度止めることです。
仕事の区切りで座りっぱなしを中断する4つの方法
一つの作業を終えたら立つ
資料を一つ作り終えたとき、メールをまとめて返信したときなど、作業の完了と「立つ」を組み合わせます。
立ち上がって次の予定を確認する、机の周りを一周するだけでも構いません。時間だけを頼りにするより、日頃から繰り返している行動と結びつけるほうが、動くことを思い出しやすくなります。
会議や電話のあとに少し歩く
オンライン会議が終わったら、飲み物を取りに行く。画面を見る必要のない電話なら立って話す。次の予定まで時間があれば、室内を短く歩く。
まとまった休憩を取れなくても、予定と予定の間に立つ動作を入れることで、座り続ける流れを変えられます。
またプリンターやごみ箱、必要なものの一部を、無理なく歩ける場所へ置いてみましょう。水分補給を我慢したり、移動しにくい場所を選んだりする必要はありません。安全を確保したうえで、普段の仕事の中に自然な移動をつくります。

脚を組みたくなったら立つ
これは、私が実践していることです。姿勢を変えたくなる、というのは身体が固まってきたという合図です。
足を交差にするだけでなく、無意識に足首のあたりで足を組んだり、つま先を立てるなど地面から足を離したら、すかさず立って座り直したり、軽いストレッチするようにしています。

立てないときは、小さく姿勢を変える
会議中や移動中など、すぐに立てないときは、座ったまま同じ姿勢を固定しないようにします。
肩を小さく回す、座る位置や背もたれの使い方を変えるなど、仕事の妨げにならない範囲で身体を動かします。
痛みを我慢して大きく伸ばす必要はありません。今どこに力が入っているかを確かめ、無理なく動かせる範囲で姿勢を変えてみてください。
運動を始める前にも、座っていた身体を確認する
仕事のあとに運動する人は、デスクを離れた直後の身体にも目を向けてみましょう。
長く座っていたあと、すぐに強い負荷のトレーニングへ移るのではなく、ウォーミングアップの中で身体の状態を確かめます。歩きながら脚の動きやすさを見る、肩を動かして左右差や力みを確認する、呼吸を止めずに動けるかを確かめるなど、ストレッチとともにおこなうことが大切です。
いつもより動きにくい、痛みがある、特定の場所へ負担が集中すると感じる場合は、その日の運動量やメニューを調整する判断も必要です。
また強い痛みやしびれ、力の入りにくさ、急に生じた症状、長引く痛みがあるときは、無理に運動やセルフケアを続けず、医療機関へ相談してください。
“動く”習慣を仕事に上手く組み込んでみる
座りっぱなしへの対策を「新しい運動」として増やすと、忙しい日ほど後回しになりやすくなります。続けるためには、すでにある仕事の流れを利用します。
たとえば、次のような方法があります。
- カレンダーの予定と予定の間を数分空ける
- 休憩を知らせる通知を設定する
- 昼休みの前後に飲み物を入れ替える
- 午後の決まった時間に、立って次の予定を確認する
- チームで会議の合間に短い休憩を設ける
一度にすべて始める必要はありません。まずは、自分が席を立ちやすい合図を決めて習慣化してみましょう。
また在宅ワークをしている方は、昇降式の机にするのもおすすめです。定期的に座る/立つを繰り返すことで身体が固まりづらくなるだけでなく、気分転換にもなります。

まとめ|仕事中にも身体を整える
運動習慣があると、「普段身体を動かしているから」と仕事中の座り続ける時間を切り分けて考えがちです。
しかし、実際は身体が固まったり、負担が偏ることで、せっかくの運動習慣にも影響が出る可能性があります。
大切なのは、気づいた時や決まったタイミングで、立つ、歩く、姿勢を変えるといった動作を入れることです。
PONO SURUが考える「整える」とは、決められた正解へ身体を合わせることではなく、今の状態に気づき、そのときの自分に合う選択をすることです。「人はなぜ『整えたい』と思うのか?自分を整える本当の意味」で紹介している考え方は、デスクワーク中にも取り入れられます。
まずは今日、作業を一つ終えたときに席を立ってみてください。そのときに、首や肩、腰の感じ、呼吸のしやすさを確認します。
仕事のあとに身体を動かす時間だけでなく、仕事をしている時間にも身体へ目を向ける。
その小さな習慣が、運動や好きなことへ向かいやすい状態をつくることにつながります。


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